流れる星は生きている
 |
人気ランキング : 7,134位
定価 : ¥ 720
販売元 : 中央公論新社
発売日 : 2002-07 |
 |
長じて数学者となった次男 |
感動です。ここまで人は強くなれるのかと。
戦後に死線をさまよった次男の正彦さんは
無事帰国後、長じて数学者になりました。
コロラド大学助教授・お茶の水大教授に
までなりまがら、国語教育の重要性を主張していらっしゃいます。
文藝春秋『日本の論点』の常連でもあります。
無事に帰国できて、本当によかった。
 |
涙 |
この本に触発され、あの偉大な作家新田次郎が誕生し、この偉大な母があり名エッセイスト藤原正彦が生まれ、活躍する昨今までを回想すると、あふれ出す感動と偉大な命の息吹の連帯を覚えた。
文章構成も非凡さが光り、そのころの臨場感がひしひしと感じられる、それでいて今では感じることのないたくさんの涙、苦しみ、力強さを感じ芸術すらかんじた。
涙とはこういうものを指すのだろう。
 |
ぜひ読んで欲しいです。 |
私も二児の母となり、今の平和な日本でもただでさえ二人連れの移動は何かと大変だというのに、この状況はとてもとても想像を絶します。
驚いたのは子持ちは人に迷惑を掛ける(当然)から嫌われるということです。
産めよ増やせよで子沢山は褒められたはずなのに、場合が場合だとやはり迷惑だから嫌われるんだ…!
読了した夜、博多港で子供を叱りつけながら上陸を20日間も待ち続けている夢を見てしまいました。
 |
母の強さ 引き上げの悲惨さ |
満州からの母一人、子三人の壮絶な引き上げ記録です。
何度読んでも著者の強さ(根性、体力、そして子供たちに対する愛)に感動させられます。涙なしでは読めません。
 |
母は強し? |
昭和20年8月10日未明から始まった,満州・新京(長春)からの脱出行。
「見栄と,ていさいのため」に家族を顧みない夫は,新田次郎である。連れて逃げた3人の幼子の一人,川を渡るときに恐怖のためにヒーヒー泣き,現在でもなぜか川が怖いという次男は,藤原正彦である。
みなのためを考えて活動する夫を無能者扱いしたり,800円で売った着物を「600円で売りました」と言って200円着服したり。こうしたことは,極限状態で生きていく上では必要なことであろう。そうしたことも含めて,当時の生活をリアルに描写しているのは,さすがである。
そうしたリアルな描写のために,極限状態での「公平」とは何かについて,真剣に考えさせられたような気がする。
例えば,著者は,1日米2合の配給が,5歳以下の子どもは1日1合となったことを不公平と訴える。また,著者は子どもがいて労働に出ないのであるが,子供がいない人たちが労働に出て,「私たちのおかげで配給がもらえるのよ」という顔をしていることが不満であるという。
これを逆の立場から見れば,「子どもにかまけて労務作業に出ることもなく,小さな子どもの分まで大人と同じ配給を要求する,ずうずうしい女」となろう。
見る人の立場によって「公平」の内容が異なるのは当然であるが,ちょっとした不公平が直ちに一方の死に繋がるような極限状態では,「お互いさま」というようなゴマカシは利かないのである。