アルベールビル・オリンピックで銀メダルを取って競技引退した後に出版された伊藤みどりさんの自伝。
山田満知子コーチとの出会いからはじまる選手としての日々が丁寧に綴られています。
ただ、この本は決して ”トップアスリートの壮絶な・知られざる苦悩を明かす…”とかいうものでは全くありません。
トップ選手としての並ならぬ努力や、多感な年頃を練習に明け暮れて過ごした難しさ、怪我に泣いたこと、次第に大きくなるプレッシャーの重圧を乗り越えて「伊藤みどり」があることを改めて知らされながらも、この本は終始、当時を笑顔でまっすぐ振り返るような文章で書かれているのです。
試合や練習中の出来事と同じくらい、コーチやコーチのご家族との日常的なエピソードや、学校の友人たちとの楽しい思い出なども多く書かれています。
私はこの本から、みどりさんの「いろいろなことがあり、いろいろな方々と出会うことが出来ました。スケートのある人生を生きることができて私は本当に幸せです」というようなメッセージを感じました。
「伊藤みどり」のスケートの最大の魅力は、みどりさん本人の溢れるような ”喜び”が、 ”輝き”となって見る者に伝わってくるところだったことを思い出します。
タイトルの「タイム・パッセージ〜時間旅行」はエキシビジョンで滑った松田聖子さんの曲でもありますが、このエッセイを書いているみどりさんが、スケート人生という時間を過去〜現在〜そして未来への ”旅”に喩えて付けたのでしょう。
プロスケーターとしての”新たな旅立ちへの希望”でこの本は結ばれています。