この本はタイトル通り入門書としてのスタンスをとっており、内容も理解しやすいように平易に書かれている。
本書の特徴として、技術的な解説だけでなく、生体認証の臆弱性や個人のプライバシー、社会倫理、法律の問題についてもきちんとページを割いて説明している点が挙げられる。より強固なセキュリティーを追い求めるあまり、個人のプライバシーを侵害するようでは今後のバイオメトリック認証の普及率に大きく影響してくる点や、一意に個人を特定できてしまう指紋や網膜などの認証データ管理にも今まで以上に注意が必要となってくる点など、章を設けて丁寧に説明されていて参考になる部分も多々あった。
それ以外は、既に同著者が執筆している書籍(例えば「ユビキタス時代のバイオメトリクスセキュリティ」など)の方がより詳しく書かれていると思う。
既にこの分野の書籍を何冊か読んでいる人には真新しい内容はほとんど期待できないので、他の専門書を進める。生体認証技術に興味があって、これらがどういうものか、どういった仕組みで働いているかなどの基本的な内容を知りたい人には向いていると思う。